姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

瓦の耐用年数って何年くらい?ってよく聞かれます。

こんばんは。

 

 

姫路は今夜あたりから一気に冷え込む予報が出ています。

寒暖差が大きくなって体調管理が難しくなる季節になってきましたね。

これからだんだんと屋根の上に上がる時に屋根面に露が下りてないか、霜が

のってないかを確認しないといけない時期になってきます。

 

先日点検させて頂いた屋根の瓦の写真です。

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凍ててしまってもう限界になっています。

凍てるというのは瓦が吸収してしまった水分が冬の冷気で凍結して層状に

剥離してしまう現象の事をいいます。

現在作られている瓦は凍害試験もクリアしているものがほとんどなので新しい

瓦でこういった現象が起こる事はほぼなくなってきたんですが、40年くらい

前に製造された瓦に比較的多いように思います。

瓦の仕事をするようになった時に製造をやっていた父に何故その時代のものが

多いのか聞いた事があります。

父曰く、ちょうどその頃に達磨窯(土で作られた窯)からガス窯に設備が

変わって焼成中の温度管理などでそれまでの経験が活かせなくなって焼きが

甘い瓦が増えたのと、どれだけ作っても足りないくらい大量に出荷していた

ので、少しでも多くの瓦を出荷するために焼成時間を短くした事が原因では

ないかとの事でした。

もちろん、父の推測やしその時期のすべての瓦がそうだって事ではないん

ですが、比較的多いのは確かです。

 

瓦のリフォームのお話を頂いて見積もりを提出した時に一番よくされる質問が

瓦ってどれくらい保つの??です。

瓦を土葺きで施工していた時代は瓦そのものの強度よりも葺き土の接着力が

なくなる頃が葺き替えの時期と判断されていました。

そのため瓦は古いものを再利用して瓦を葺き直すなんて事も当たり前にされて

いました。しかし、瓦そのものの単価が下落した事と人件費が高くなってきた

事で葺き直すよりも瓦も土も撤去して、引っ掛け桟葺きで施工するやり方が

主流になっています。

引っ掛け桟葺きが普及してきた後の瓦の寿命に関わってくるのは瓦を留めつけて

いる釘の材質です。現在はステンレス製のものを使用していますが、亜鉛メッキ

された鉄釘を使っていた時期もあります。この釘が錆びて瓦を割ってしまう事が

原因の雨漏りも最近はものすごく多いです。

結果として30年〜40年の屋根が一番葺き替えしないといけない状態になって

いるように思います。

 

以上のような理由で葺き替えのサイクルはこれまでは40年~50年と言われて

いましたが、引っ掛け桟葺きでステンレス製の釘が普及した現在はもっと長持ち

するんじゃないかな??って思います。

 

もちろん、ちゃんとメンテナンスをして屋根の状態を万全なものにしておく事が

前提で、まったく何も手入れせずに放置していたらその限りではありませんが。