こんばんは。
姫路の瓦屋さん表(おもて)です。
取引先からカレンダーがたくさん届くようになってくるといよいよ年末や
なぁって感じます。
毎年本当にたくさんカレンダーを頂くんですが、残念ながら全て掛けるわ
けにはいかないので、従業員や近所の方にもおすそ分けしてます。
鬼瓦にはたくさんの種類があります。
以前、鬼面の鬼瓦の話を書いた事があります。
密教系の「行」をする宗派でよく使われているのが鬼面の鬼瓦なんですが、
他にもいろいろと種類があります。
今日から姫路市内でお寺の塀の工事を着工させて頂いてるんですが、そこ
の塀には鬼面鬼瓦と数珠掛けの鬼瓦が混在していました。
仏教系の寺院は特に鬼瓦を見たら宗派が分かると言われるくらいです。
予算の関係もあって既製品で済ませてしまってる所も多いので、絶対とい
うわけではないのと、明治の廃仏毀釈の影響でお寺の宗派が変わってしま
ってる事もあるのですが。
ちゃんと意味があってその形になっています。
仏教が細分化される前、日本に伝わってから奈良時代くらいまでのお寺に
よく見られるのが古代鬼面瓦です。一般的にイメージされる鬼瓦との違い
は顔の部分が平面であまり立体的でない事ですね。
まだ瓦を造る技術が未発達で立体的な造形のものを焼き上げるのが難しい
中で特別なものとして作られた鬼瓦です。
その古代鬼面から派生して立体的になったものが鬼面鬼瓦です。
密教系の宗派では山野を巡って肉体的な修行をして険しい顔になる事で魔
を払うって意味が込められているそうです。一番イメージしやすい鬼瓦か
もしれません。
仏教が一般庶民の間でも信仰されるようになった浄土宗など「行」をしな
くてもお経を唱えればいいという宗派の屋根には「経の巻」という鬼瓦が
上がっています。角の丸い部分がお経の巻物のように見える事からこの名
がつきました。
禅宗のお寺によく使われているのが「数珠掛け」の鬼瓦です。鬼瓦の外縁
に沿って「数珠」のように丸い飾りがあります。
家紋や飾り、鬼瓦の種類を目印にしていた?
私の個人的な見解なんですが、こんな風にいろいろな種類の鬼瓦が出来た
のはお寺が今よりもずっと権勢を誇っていた時代にどの勢力のお寺なのか
を一目で判断できるようにしていたんじゃないかと思います。
そして瓦が今よりももっと高級品やった時代に自分のところのオリジナル
デザインの鬼瓦を飾る事が出来るのがステータスにもなっていたんじゃな
いかなぁ。
そう考えると昔も今もやってる事は一緒やなぁって思ってしまいます。