姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

器用貧乏な人間も一人くらいは要りますよね。

こんばんは。


姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
現場の段取りの隙間時間に新人くんの事務手続きのために役所巡りをしてきました。一人の手続きの為にあちこち走り回らないといけないのって正直メンドクサイんですが、私が入社して以来の若人なのでちょっと楽しい部分もあります。

 

専門性の高いところに居続けたのに何故か器用貧乏です。

 

私は高校を選ぶ時点で専門性の高い「高専」というところを選びました。当時15歳でまだまだ真剣に将来の事についてなんて考えてなかった時期になんとなく「普通」が嫌で選んだんです。
入学してみてびっくりしたのは先生たち「教える側」は最初から本気で専門を教えてくれた事です。カリキュラム的に高校3年間と大学4年間で勉強する内容を5年間に圧縮するって時点であまり悠長にはやってられないって事やと思うけど、それでもほとんど覚悟もないまま入学したので焦りました。分からない事だらけなんです。そして同級生たちは結構平気でついて行けてるんです。分からないなりに必死になって気が付いたら卒業してて、更に専門性を高めるために大学、そして大学院まで行きました。普通はこの時点でほぼ「専門バカ」確定ですよね?
就職も大阪のゼネコンで現場監督やったし、そこを辞めて家業を継いだら瓦工事店なので結局15歳からかれこれ25年間ずっと建築畑にいる事になります。
特に家業の瓦は業界の人以外はあまり詳しく知ってる人がいない事もあって、建築業界の中でも専門性の高い仕事です。
それでも私自身は自分では「専門バカ」になりきれないなぁって思ってしまいます。瓦工事で職人としては1級技能士は取得したもののそこで止まってるようなものやし、建築関係として考えても建築士の資格も持っていない。知識や経験で言うとそれなりに幅広いけどあまり深くはないってのが自己評価です。
それがコンプレックスやった時期もあるんですが、最近やっとそれが自分の個性やって思えるようになってきました。
器用貧乏って言葉の聞こえ方はあまり良くないけど悪い事じゃないって最近は思ってます。

 

何でも出来るけど何も出来ない。

 

4年前に親父から会社を引き継いで、今はあまり現場の仕事をしていません。従業員のみんなに仕事をしてもらってお給料を払うためにも仕事を確保して会社を存続させていく事が一番の仕事やと考えるからです。それでも人手が足りない時には現場で仕事もしますし、その合間に営業やその他の仕事も並行してやる事もありますが、そんな時はどうしても効率が悪くなってしまって利益も出なくなります。私は会社の中の仕事はだいたい何でも出来ますが、どの仕事も専従してやってる人にはかないません。何でも出来るけど何も出来ないんです。

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でもそういう人間が一人でも居ると不測の事態に対応する事が出来ます。私の立ち位置って社内でも社外でも似たような感じです。

 

広く浅く手を伸ばしておけば少しずつでも深くなります。

 

昔から色んな所に顔出してるなぁとか、変な事知ってるなぁって言われる事が多いんですが、私自身は知らない事ばっかりです。色々な団体や活動に顔を出して交友関係が広がれば広がるほど専門家の知り合いや友人が増えていくので、その友人達との繋がりで知らない事を教えてもらってるだけです。
局所的に掘り下げていく専門家だけじゃなく、専門の範囲を広く浅く掘っていくような専門家も居ていいんじゃないかな?範囲を広げていたらそのうち自然と深くなると思うんです。
もちろんきっちりと専門分野を深く掘り下げる人が居るからこそ生きてくるので器用貧乏ばっかりになっても困るけど。
周りに専門家が多いのでちょっと卑屈になりかけた時期もあったけど、今はそう思って自信を持って仕事をしてます。