姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

同じものに2つの尺度を使うと混乱します。

こんばんは。


姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
今日は異業種交流会「一八会」の例会でした。3人の先輩が今期から代表職に就かれた報告もあってとても刺激を受けるひと時でした。

 

瓦は尺貫法で作られています。

 

皆さんは1寸がどれくらいの長さなのかすぐに答えられますか?
だいたい3cmくらい(正確には3.03cm)なんですが、瓦(特に和瓦)は尺貫法で作られています。もちろん、JIS規格での表記ではメートル法に換算されていますが、それも尺貫法で作られたものをメートル法で測り直してるだけです。
鬼瓦に至っては今でも尺貫法の呼称がそのまま使われています。
屋根の一番てっぺんの棟の部分に使われる8寸のサイズの鬼瓦は「8寸又鬼」と言う風に。写真は塀に使われている3寸の隅鬼です。小さくて滅多に使わないけどないと困るんですよね。

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瓦は焼き物で1枚1枚の誤差が大きいのが理由です。

 

同じ窯から出てきた瓦でも1枚1枚微妙にサイズが違います。かなり精度が上がって来た今の瓦でも±1mm程度は軽く違ってくるんです。昔はもっと誤差が大きかったようですがその大小を組み合わせながら葺きあげるのが本来の仕事なんです。
そんな時に尺貫法なら誤差を飲み込めてしまうのが1つの要因やと思います。一般的に使われるJIS規格の桟瓦のサイズが265mmなんですが、尺貫法やと8寸8分となります。この8寸8分って264mmから267mmまでを指します。もちろん、尺貫法にも「分」の下に「厘」って単位もあるけどそこまで行くと今度は小さ過ぎて使えません。

 

誤差を飲み込みながら狂いなく仕上げるのがプロです。

 

一般的にはたった3mmって思われるかもしれませんが、その3mmが仕上げの美観に関わってきたりもするので侮れません。そういう誤差を飲み込んで葺き上げるのが我々プロの仕事です。
大きい瓦と小さい瓦の組み合わせで強度を増す事も出来るし微妙な隙間が出来そうな時に少し大きめの瓦を揃えて葺く事によって隙間をなくしたりも出来ます。
均一なサイズの瓦やと融通が利かなくて余計な手間が増えるんです。計算された大小ではないけれどだからこそ「仕事」をすれば綺麗で頑丈な屋根になるんです。