姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

古い瓦を再利用するのと新しい瓦を施工するのではどちらがおトク?

こんにちは。


姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
九州では梅雨が明けましたね。この調子で行くと近畿地方も近々梅雨明けになりそうです。今年も降る降るって言いながら降らない予報に悩まされたけど、地域によっては何回も警報が出たりしてるので一概に空梅雨とも言えないですね。

 

古い瓦の再利用が可能かよく聞かれます。

 

住宅のリフォーム工事の依頼があって現場調査に伺うと10軒に1軒くらいの割合で「今屋根に葺いてある瓦を再利用出来ないか?」という問い合わせがあります。
正直な話をすると50年程度の年数のいぶし瓦なら再利用は不可能ではありません。100年前の瓦となるとちょっと微妙なんですが、瓦そのものの強度で言えば全く問題ない事も多いです。
ただしそれで工事金額が安くなるかというとむしろ割高になります。
それは古い瓦を再利用する場合には一度瓦を撤去した後に古い瓦を一度屋根から降ろして清掃、選別して再度屋根に上げるという工程が必要になるからです。

 

「モノ」の時代を経て材料費はとても安くなりました。

 

高度成長期を経てバブルの時代に入ったころに大量生産の技術が確立して瓦の1枚あたりの単価はとても安くなりました。流通網の発達で運賃も同じく安くなっています。その為工事代金における材料費の割合が50年前と今とでは大きく違ってきています。その代わりに人件費が高騰しました。大卒の初任給が数万円やった時代から20万円ちょっとにまで上がったんですから、当然職人さんの日当も上がりますよね。
古い瓦を降ろして再利用出来るようにするためにかかる人件費が新しい瓦を1軒分用意するための材料代よりも高くなってしまうので、工事代金を安くあげるために古瓦の再利用を考えているのであればやめておいた方がいいんです。

 

町並みの風情を考えての再利用であれば問題ありません。

 

最近は特に景観条例なども施行されてきて瓦の建物でないといけない地区も少しずつ増えてきました。そういう地区では古い瓦の再利用の工事もたまにあります。
もちろん手間はめちゃくちゃかかるけど、古い瓦を葺き直して綺麗になった屋根は当たり前やけど周囲の景観とマッチしていて工事が終わってしまえば一般の方は工事があった事すら分からなくなるんじゃないかと思います。
古い瓦が再利用出来ない場合でも淡路では「古色いぶし」の瓦も生産しています。
新しいいぶし瓦ではどうしても表面が光って違和感になってしまうのを避けたい施主さんにはオススメです。
損か得かではなく町並みとの親和性を考える工事をやっていきたいなぁ。

f:id:cbr1100xx-superblackbird-01:20170713171036j:plain