姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

神社やお寺のように木が多い場所では屋根が傷みやすいんです。

こんばんは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
年が明けてから小さいながらも社寺物件をいくつかさせて頂いているんですが、段取りも違うし瓦も普段使っているものとは違うのでいろいろ戸惑いながらいい経験をさせてもらっています。
自分が屋根に上がって瓦葺きの仕事をしたいって気持ちも少しあるんですが、それをしてしまうと他の現場の段取りや現場調査が滞ってしまうのでグッと我慢して段取りに回っています。

 

大きな木が生えている所は屋根の上の落ち葉に注意です。

 

神社やお寺に特に多いんですが、屋根の上にまで木が覆いかぶさっている事があります。住宅でも山際の家などでは成長した木が完全に屋根の上まで伸びています。こういう物件は落ち葉が原因で雨漏りする事があるんです。

 

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一枚や二枚の落ち葉が原因で雨漏りする事はないんですが、落ち葉が瓦の上に残ってしまってそれが長く積み重なると少しずつ堆肥化して土になってしまいます。その土は瓦にこびりついてしまって雨が降ったくらいでは流れなくなります。そして雨の流れをせき止めたり土そのものが雨を含んでしまって瓦の裏側に水が回ったりして雨漏りします。樋に落ち葉が詰って流れなくなった事によってオーバーフローした水が雨漏りの原因にもなります。

 

反り屋根は特に落ち葉が溜まりやすいんです。

 

本葺きの屋根は平瓦と丸瓦を組み合わせて葺いてあって、平瓦は上から見えている部分の瓦の下にはもう二枚重なっているので、一枚が割れてもその下の瓦が割れ目から入った水を受けるように出来ていて、雨には強いのが特徴です。
特に社寺物件では反り屋根といって軒先で勾配が緩くて上に行くほど勾配がきつくなる様式の屋根が多いので、本葺きで葺き上げると見た目も綺麗で雨にも強いんですが、その屋根の上に木が生い茂ると長所が逆に短所になってしまいます。勾配が緩くなった部分に落ち葉がたまりやすく、平瓦と丸瓦の隙間に落ち葉が入り込んで雨漏りの原因になってしまうんです。
お寺や神社って建物の周辺に比較的大きな木が多いので特に屋根の傷みが酷くなります。

 

技術の進歩で見た目は本葺きと変わらないモノが出来ました。

 

本葺きの欠点と言えばもう一つ、使う瓦の枚数が普通の和瓦の3倍になってしまって重量も3倍以上になってしまうというものがあります。実際には屋根の重量が耐震性に及ぼす影響って世間で言われているほど大きいものではなくて、屋根を軽くしたからといってそれがすぐに耐震性を増す事には繋がらないんですが。瓦の枚数が増えるという事は職人さんの仕事が増えるという事で予算も余計にかかるというのも欠点といえば欠点ですね。
その解決方法として最近は「丸平一体型」の瓦があります。読んで字の如く丸瓦と平瓦が一体になったもので使う枚数も減るし手間もかなり減るので最近はいろいろな物件でよく使われています。特に最近は成形の精度が上がってきて我々専門家の他にはよっぽど瓦に詳しい人でないとパッと見た程度では本葺きなのか一体型なのか分からないような製品になってきています。文化財にもよく採用されていてますが、流石にまだ国宝や重要文化財レベルのものには使われていません。予算的には本葺きよりは安いけど普通の和瓦よりは高くなりますが、見た目に拘る方にも採用されるようになってきました。

 

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普通の和瓦の葺きあがりもカッコ良くてすきなんですが、本葺きの重厚感のある屋根も完成すると見栄えがいいんですよねぇ。