姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

いぶし瓦の銀色は塗料や釉薬ではない、自然の発色なんです。

こんにちは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
暑いだけでなく湿度も高くなってきました。梅雨ももうすぐそこまで来ている感じがしますね。蒸し暑いとそれだけ熱中症のリスクも高くなります。特に今の時期は暑くなったり涼しくなったりする上にまだ体が暑さになれていないので気を付け過ぎるくらいでちょうどいいかもしれません。

 

よくいぶし瓦の塗料について聞かれます。

 

お客さんからよくある質問の中に「いぶし瓦の塗料ってどれくらいもちますか?」というものがあります。新品やと綺麗な銀色しているので塗料やと思われているようなんですが、いぶし瓦の銀色は塗料ではありません。
瓦は大きく「無釉瓦」と「釉薬瓦」に分類されます。その字の通り「無釉瓦」というのは焼成の時に釉薬を使わない瓦の事で「素焼き瓦」や「いぶし瓦」などがこれにあたります。そして「釉薬瓦」は焼成前に熱に反応して発色する釉薬を使用する事で完成品に青や赤などの色を定着させた瓦です。無釉瓦は表面が粗くて釉薬瓦は表面がガラス質でツルっとしているのが特徴なんです。
いぶし瓦は製造段階では釉薬を使わない無釉瓦なんですが、どうやって銀色を出しているかというと、焼成時に真空状態にした窯の中にガスを注入して接触分解という反応を起こして瓦に炭素被膜を発生させる方法で銀色にしているんです。
同じ無釉瓦でも「素焼き瓦」は土そのものの色になるので赤っぽい色になります。

 

ガス窯になって品質が均一になってきました。

 

昔使われていた「だるま窯」という土の窯は窯の中で火の通りがいい場所と悪い場所がどうしても出来てしまい、同じ窯で同時に焼いた瓦でも「一等品」と「二等品」に分けられていました。それがガス窯の導入と温度やガスの制御をコンピューターがするようになって品質が一定になり、今では瓦には等級はありません。それだけ品質が一定になってきたという事ですね。それでも瓦は他の材料のように高い精度で作れるものではないので1枚あたりの大きさには±2mm程度の誤差が出来てしまいます。

 

いぶしの銀色は経年によって変化していきます。

 

どんなものでも経年による変化は必ずあります。いぶし瓦の場合には銀色が少しくすんだり炭素被膜の表面が薄くなって黒くなったりする事があるんです。
ただ、あくまでも自然のものなのでその変化は経年による「味」ととらえてもらえる事が多いように思います。
新しい瓦のギラギラした銀色よりも古い瓦の色合いの方がよいと敢えて古色いぶしを選ばれるお客さんもいらっしゃるくらいなので。
それでも飾り瓦などで綺麗な銀色にしたいという時にはいぶし瓦用の塗料スプレーもあります。新築やリフォームで屋根に乗せる瓦にはあまりオススメしていませんが、屋根から降りてきて飾る場合に使う事はたまにあります。
あくまでも塗料のスプレーなので屋根のような条件が厳しい所では長持ちしないんですよね。

f:id:cbr1100xx-superblackbird-01:20180516165812j:image