姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

空手家は瓦を「割る」けど、瓦屋は瓦を「切る」んです。

こんばんは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
6月もいよいよ終盤になって夏が近づいてきましたね。今日は今年初めてセミの声を聞きました。まだ梅雨明けもしてないのに気が早いもんですね。まぁ、セミが鳴いてても不思議じゃないくらい暑い日が続いているので違和感はないんですが。
梅雨独特の湿度と気温の高さは熱中症になりやすいので皆さんも気を付けてくださいね。

 

学校へ出張で行くのはいつもと違って気を遣います。

 

今日は姫路市内の小学校へ「ものづくり実演&体験教室」でした。いつも行っているものづくり大学でのものづくり体験は対象が中学生なんですが、このものづくり実演&体験教室は小学生が対象です。学年にしたらホンの2~3年なんですが、子供の頃の2~3年ってかなり大きいんやなぁって毎回感じます。
中学生に教える時と小学生に教える時とでは使う言葉から変えていかないと通じない事も多いし、これくらいは出来るやろうって思う作業でも小学生の筋力では難しかったりするので安全面に関しても気を遣います。
なにより各小学校に出張するので、掃除や片付けなども勝手が違うんですよね。

 

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瓦を「割る」のは空手家です。

 

ものづくり大学校でやる体験教室も各小学校でやる体験教室も基本的にはほぼ同じプログラムでやっていますが、生徒達が一番楽しそうにしているのは「のし瓦」を鏨(たがね)を使って切る体験です。
それ以外もワイワイ言いながら楽しそうにはしているんですが、毎回違う生徒が来ているはずやのに一番盛り上がるんです。それは普段あまりものをハンマーで叩いたりする経験がないし、あまりモノを壊してもいいって言ってもらえる機会がないけど、のし切り体験では思う存分粉々にしても怒られないからかもしれません。
「のし瓦」という瓦は基本的に半分に割れるように作られています。空手家の方が10枚とか20枚とか重ねて割る「試割り」をやっていて、確かに20枚割るのはスゴイんですが、瓦屋としては割れて当然なんですよね。

 

瓦屋は瓦を「切る」んです。

 

今は電動工具が発達して充電式のものも性能が良くなってきているんですが、かわら葺きの技能士の実技試験では電動工具を使わずに瓦を「切る」技能が必須になります。鏨を使ったりハンマーを使ったりして瓦を切るんですが、それも瓦の原料である土の「目」を意識しながらやらないと上手くいきません。電動工具で力任せに切ってばかりいるとそれが分からなくなる事もあります。
でもちゃんと鏨を使って瓦を切る練習をしておくと電動工具を使う場合でも工具に負担をかけずに切る事が出来るしちょっとした修理で工具を使うまでもないような時に手間を掛けずに仕事が出来るんです。
その為に瓦を「切る」職人の仕事が伝わってると嬉しいなぁ。