姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

姫路にも瓦割り道場が出来ていました。

こんばんは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
あっという間に7月も終わりですね。今月は長雨やら猛暑やら台風やらで大忙しな1ヵ月でした。ひたすら走り回っていたので1ヵ月経つのが早いです。仕事を頂けるのは本当に有難いんですが、会社の中の事とかいろいろとやらないといけない事が後回しになってしまってるので少し落ち着きたいです。

 

瓦割りに使われているのは割って使うのが前提の瓦です。

 

空手などの格闘技のデモンストレーションとして瓦の「試割り」をやっているのをたまに見かけます。当社にも空手の道場から試割り用の瓦を購入したいとの問い合わせがあります。
基本的には試割りに使う瓦と言うのは色が変わってしまった瓦など現場で使うには問題があるけど、強度的には問題のないものを選んでいます。昔は瓦製造の窯の問題で窯出しの段階からいぶしがきちんと乗っていない瓦もあったんですが、今の窯は内部の温度もガスも全て制御されているのでそうそうB級品は出ないんです。
そして瓦割に使う瓦というのもヒビが入っているから割れるわけではなく、元々割って使う事が前提の瓦で割れやすいように裏に溝が入っているんです。

 

割って使う事が前提ではあるけど10枚重ねて割るのは難しい。

 

私も昨年チャレンジした事があるんですが、割って使う前提の瓦とは言っても現場では金槌を使って割っているので素手で割るのはなかなか難しいんです。思い切ってやらないと手を傷めるし。格闘技で試割りをしている人が20枚とか重ねて試割りをしているのは本当にスゴイ事やとは思います。
でも綺麗に2つに割れるのをスゴイと言われると業界の人間としてはそういう構造の瓦やからねぇってヒネた感想を言ってしまいます。そして皆さんが「瓦」と言われてイメージする形の瓦はそんなに簡単には割れません。似たような形をしていても割って使う事が前提ではない瓦はかなりの強度なんです。

 

どこの産地の瓦でも「のし瓦」は割れます。

 

今日の神戸新聞の夕刊に姫路の瓦割り道場の事が紹介してありました。

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 それ自体は良い事なんです。でも記事の中で「他の産地に比べて柔らかい淡路瓦」という記述がありました。確かに淡路の瓦は他の産地に比べると焼成温度が低めなので「硬さ」は他の産地ほどではありません。でも柔らかいというのは私たち現場で仕事してる人間の感覚であって、一般の人には淡路産も三州産も石州産も大きな違いはありません。
屋根材として必要とされている強度以上の強度は淡路産の瓦でも確保出来ています。瓦割りで使用する「のし瓦」に関していえばどこの産地の瓦を使ってもちゃんと割れるんです。ただ、地場産の材料として淡路の瓦を使っているんやと思うんです。瓦が地震などの災害の記事以外で取り上げられているのが嬉しかったので、余計に記事の内容が気になってしまいました。