姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

杉の皮がルーフィングの代わりでした。

こんばんは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
今日は暑かったですね。姫路では最高気温が27℃まで上がったそうです。観測気温が27℃って事は屋根の上では確実に30℃以上になっています。真夏日になるのも時間の問題ですね。今年の夏はどれくらい暑くなる事やら。去年のような猛暑にならない事を祈るのみです。

 

古い家では下葺き材として杉皮が使われていました。

 

今でこそ瓦を施工する前の野地板には高機能なルーフィングが施工されていますが、ルーフィングが開発されるまでは杉皮や「トントン」と言われる薄く裂いた板が使われていました。つまり昔の家は植物や土など完全に自然界のものだけで構成されていたんですね。
野地板は今と違って板と板の間に隙間があって、小屋裏の空気が屋根面から抜けていくようになっていて、家自体が呼吸するようになっていたんです。だから家の中で火を使っても一酸化炭素中毒にもならなかったし、換気扇がなくても結露もしなかったんですね。

 

リフォームする時には物凄く手間がかかります。

 

この杉皮、屋根の葺き替えの時には物凄く手間がかかるんです。瓦は土葺きで葺かれているので瓦とは別に土を降ろさないといけないんですが、その土が杉皮にくっついてしまってなかなか綺麗にとれない上に杉皮の下の野地板には隙間があるので小屋裏に物凄い量の土が落ちてしまいます。
更に杉皮をめくってしまわないとルーフィングを施工できないので、杉皮を全て撤去しないといけません。1軒の屋根の全面に施工されている杉皮はかなりの量になります。それを屋根から降ろす時にまた土埃が落ちてそこら中が埃まみれになってしまいます。
重量はそれほどでもないんですが、なんせ嵩張るので持って帰る道中で飛ばさないように気を付けて運転しないといけません。

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気密住宅には向かないけど自然住宅としてはピカイチです。

 

今の新築住宅はエアコンありきで設計されているので高気密高断熱になっています。そういう住宅には杉皮は向いていませんが、寒い時は寒いなりに、暑い時には暑いなりの生活が出来る自然住宅にとってはこれ以上ない建材です。
施工するにも手間がかかるし撤去するにも手間がかかるので、今の建築の流行には合わないし、基本的に土葺きをする事が前提の建材なので軽量化も出来ません。
「軽い方がいい」とか「エネルギー効率がいい」という一面だけでなく、メリットデメリットをしっかり比較していろいろな工法を選択出来るようになったらいいなぁって思います。