姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

古民家活用は残そうって思う人があってこそです。

こんばんは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
午後から天気が荒れましたね。まさに春の嵐です。こんな日は仕事にならないので事務所でのんびり事務仕事をやっています。

 

古くても直して使えるものは直すって気持ちが大事なんですね。

 

先日長浜の町を散策しててびっくりしました。築100年くらいの古民家が物凄くたくさん残っていて、それが現役で店舗や住宅として残っているんです。旧の北国街道沿いは道路こそ拡張してあって、舗装もされているけど通りを構成する町家などの建物は取り壊されて虫食いになってるところもあったけど、それでもまだまだ旧家がたくさん残っていてそこで生活してはる事が感じられました。先週京都で路地を散策した時よりも古い町家が多いんじゃないかって思います。
そんな町並みを歩きながら思ったのは、この町に住んでる人は古くなったから建て替えようって考えるんではなく、古くなった所は直したらまだまだ使えるって思ってるんやなぁって事です。実際に修理したと思われるところがいろいろありましたが、それがまた味になっていました。
きっと「古い町並みやから残さないと」なんて大仰な事を考えなくても「まだ使えるやん」って感覚なんです。そしてそういう家や地域に愛着を持ってる人が残ってる事が曳山祭などの伝統行事の承継に繋がっているんですね。

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今の「家」が一番いい状態なのは完成した直後です。

 

ここ10年ほどで建てられたほとんどの家の一番いい状態は家が完成した直後やと思います。そこからは劣化が始ってどんどん古臭くなって行きます。税法上の財産の考え方ですね。価値が一番高いのは新品の状態っていう事です。でも住宅って完成した直後はいろいろ不具合があったりするので本当の意味で完成するのは5年から10年経った頃やと私は思っています。
そうすると住んでる人が一番住みやすいって感じるようになった頃っていうのは価値が下がってしまってるって事になりますよね。これって変じゃないですか??長く使うものほど馴染んできて使い勝手がよくなる頃が一番良いものやのに。
私は家は住み手と共に成長していくものやと思っています。でも今の家は人間で言うと産まれた時にはもう成人しているようなものです。いや、成人やとまだ若いですね。完成した時にはもう壮年になってるってくらいの感覚かもしれません。しかもそこから先は成長するためには外科的な手術が必要になる感じですね。

 

自分の家を守るってのもカッコいいと思います。

 

家を「建てる」のか「買う」のかはそれこそ人それぞれ事情もありますし考え方もそれぞれで、買う方が生活スタイルが合う人もあると思うので一概に悪いとは言えませんが、何も考えずに家を「買って」しまってる人がとても多いように感じるんです。
お客さんにそうさせてしまっているのは、きちんと情報発信をしてこなかった我々作り手の責任かもしれません。それでもやっぱりちゃんと親・子・孫という繋がりがしっかり残っているところではきちんと家も承継されているって事を忘れないように伝えていく必要があると思いませんか?