姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

専門職はもういらないって言われた気分でした。

こんにちは。

 

姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
連休も終わってさぁこれから仕事を進めるぞって思ったら雨です。思うようにいかないですね。

 

「足場の組み立て等特別教育」の講習に行ってきました。

 

住宅業界ではつい最近まで新築か大規模なリフォームの時に仮設足場をかけるくらいで屋根の葺き替え工事の時には足場をしない事が多々ありました。しかしリフォーム工事が増えてきた事で労災事故への懸念も高まってきた事と安全への配慮が浸透してきた事でやっと個人の住宅の家の工事でも仮設足場をする事が当たり前と言えるようになってきました。
そこで今更なんですが「足場の組み立て等特別教育」という講習を受講しました。
これを持っていないと現場で作業する時に足場を利用する事すら出来ないように法改正がされた事も理由の1つです。
そして本来足場屋さんが受けておけばいいはずのこの講習を工事に関係する業者が全員受けなければならないのは「労働生産性を上げる」事が目的との事です。
所謂「多能工」を育成すれば生産性が上がるので職人が不足しても対応が出来るという考えらしいです。
これって「専門職はいらない」って言ってるのと同義に感じました。

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現場単位の意識改革も必要ですが発注側の意識改革も必要です。

 

講習を受けてみて感じたのは、この法律の前提が公共工事で仕事をしている大きな企業向けやなって事です。
内容としては自分の身を守るために安全な工事をする。その為にはきちんとした足場が必要っていうごくごく当たり前の内容です。しかし大きな工事ならともかく一枚瓦を交換するために足場をかけるなんて出来ませんし現実的ではありません。そういった部分への配慮が一切なくただただ正論だけを聞かされたのでちょっと反発したくなりました。
我々の仕事ではしばしば足場を見積もりに入れていても「足場なしで出来ひん?」って言われる事があります。工事には当然予算もありますし、1日で終わってしまうような修理工事の場合もあるけど法律的にはそれでも足場が必要なんですよね。我々現場で仕事をしている業者に足場での作業の教育をする事は大事ですが、発注する側にもその意識を持ってもらうための教育が必要やなぁって感じました。

 

相変わらず「質」より「量」を求めるんですね。

 

公共工事や大手企業の仕事をする場合に求められるのが「特別教育」関係の資格なんですが、かなりの数があります。
この講習は職人を「多能工」にするための資格みたいなものです。工事の質はともかく誰にでも出来る仕事を増やそうという感覚なんでしょうね。
熟練の職人の技では仕上がりが均質にならないという理由もあるとは思うんですが、そろそろ「量」よりも「質」を求めてもいい時代やと思うんですよねぇ。
手っ取り早く建物を仕上げる事にばかり意識が向いていて人材の育成や技術の承継にはまだまだ意識が向いてないなぁって感じた講習でした。