姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

大手メーカーの商品だからと言って安心は出来ません。

こんばんは。


姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
朝起きた時は暖かいなぁって思ってたんですが、昼過ぎくらいからどんどん風が強くなって冷え込んできました。風の冷たさが冬のような感じで、11月に入ったんやって実感しました。

 

専門家でも判断に困る材料がたくさんあります。

 

先月の台風のように広範囲で雨漏りや屋根材が飛んだりなどの被害がでて未だに現場調査に走り回っているんですが、その屋根材はびっくりするくらい多岐にわたっています。
同じ色でも形が違っていたり、形は同じでも色が違ってたり、少しだけサイズが違ったり微妙に形が違ったり・・・。
こんなにメーカーによって違いがあると修理する時に材料をそろえるのが大変です。1日に5~6件現場調査に回ると細めにメモを取っていても見積もりする段階で使う材料がこんがらがってしまって、写真を見ていても混乱します。
工事が決まってメーカーや問屋さんに材料を注文する時も普段は倉庫に在庫してあるはずの種類のものが品切れになっていたり、窯元から送ってもらわないといけないかな?って思っていたものが倉庫にあったりするんですが、20年から30年くらい前の材料が一番判断に困ります。

 

大手メーカーの方が絶版になってるものが多いです。

 

あまり知られていない事ですが、瓦にもいろいろな種類があります。「瓦」と言われて一番イメージし易いものはJIS規格では「J型」と規定されているものやと思うんですが、この瓦は江戸時代の中頃に今の形になってからほぼ変わっていません。それでも大きさは時代によって違うし、切込みの深さであったり曲面のRが違っていたりします。これがJIS規格のF型になるともっとたくさんの種類があります。同じメーカーから3種類とか4種類も出していたりして、同じ種類のものでないとぴったりとは合いません。更に色にも流行りがあるので、修理の時に施主さんに全く同じ瓦はないかもしれない事を了承してもらわないといけないくらいです。
そして何より気を付けないといけないのは「大手メーカーの商品やからどこにでもあるやろう」っていう思い込みです。
大手メーカーの商品は廃版になるとあっという間になくなります。築10年の家でも修理するために材料を発注したら「もうありません」って回答があるくらいなんです。

 

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住宅の10年はあっという間です。

 

電化製品や車などは10年も使えばとても大事に使ったって感じますが、住宅に関してはその感覚は1/10くらいと考えていてもいいと思います。
新築で建てた家に10年住んで建て替えるというのは車を新車で買って1年で乗り替えると言ってるのと同じなんです。毎日生活しているとなかなか変化しているのが分かり難いけど、住み続けているうちにライフスタイルも変化しますし、家族構成も変わってきます。そう言った変化を全部経験して初めて家は完成すると思います。それが最近ではライフスタイルが変わったから家を変えるという普通に考えたらとてももったいないというか無駄な事を当たり前にやるようになっています。大量生産・大量消費の時代が残した負の遺産かなぁ。
もうそろそろ脱却していかないと痛い目に合うかもしれません。