姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

何事にもカッコよく見える法則があります。

こんばんは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
ここしばらくは天気が安定しているので仕事の方もそれなりに捗っています。もうしばらくの間はこのままの天気で居て欲しいですね。

 

鬼瓦の大きさにも法則があります。

 

田舎の家に行くと立派な和瓦の屋根に大きな鬼瓦がついていますね。あの鬼瓦の大きさは実はこれといった決め事はありません。
屋根を葺いた職人さんが屋根全体の大きさや勾配などを確認しながら一番バランスが取れる大きさを経験で決めている事がほとんどなんです。特に大屋根(2階の屋根)は地面から見ると目が遠くて小さく見えがちですが、近くで見ると意外と大きかったりもします。
決め事はありませんが、経験則に裏打ちされた法則というか考え方はいろいろあります。基本的には鬼瓦の大きさは棟(屋根のてっぺんの部分)に積むのし瓦の段数によって決まります。のし瓦というのは空手などの「瓦割り」によく使われている瓦で半分に割って使う瓦です。段数を多くして棟を高くすると重厚感のある屋根に見えるので立派な家に見えます。
逆に段数を少なく、低い棟にするとすっきりした軽い屋根に見せる事が出来ます。昔の家は立派な家に見せる事で経済力をアピールしていた部分もあるので、隣の家よりも1段でも高い棟をというリクエストがあったりしました。

 

バランスが悪いとお金を掛けても不格好になります。

 

屋根の大きさに対して高すぎる棟はせっかくお金を掛けたのに不格好に見えてしまいます。低くする場合にはもっと注意が必要でバランスが悪いととても安っぽい屋根に見えてしまうんです。
建物そのものの高さと屋根の広さ、勾配などを考えながら棟の段数を決めるのが我々瓦屋の仕事なんです。
瓦の大きさにも同じ事が言えます。大きい屋根に小さい瓦をたくさん載せると重厚感が増しますが、小さすぎると予算ばかりかさんでしまってカッコいい屋根になりません。
大きなお寺やお城の瓦のサイズは一般の住宅の瓦の倍くらいになってる事もあります。逆に門などの小さい屋根に大きな瓦を使うのもあまりオススメしません。
現代は瓦のサイズはある程度規格化されて大きさの種類は限定されつつありますが、小さい瓦はまだ製造している窯元もあるので門などの工事がある時にはご相談ください。

 

お寺の鬼瓦にはもっといろいろなルールがあります。

 

お寺の鬼瓦は住宅よりもたくさんのルールがあります。明治時代より前のお寺の場合には鬼瓦を見たらそのお寺の宗派がどこなのかおおよその見当がついたと言われています。
明治時代の廃仏毀釈の影響でいろんな宗派が入り混じってしまって今では厳密にそのルールを守っているお寺は少なくなっていますが。
また大きさについてもお寺の妻部分(お寺を横から見て鬼瓦の顔が見える方向)の破風には懸魚(けんぎょ・げぎょ)が付いているんですが、鬼瓦はこの懸魚とほぼ同じ大きさになっています。

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元は棟から水に縁のある魚をぶら下げて火事除けのお呪いとしたものが木彫りの魚になり、魚のヒレの形になったと言われているんですが、鬼瓦と同じ大きさにする事で視線を散らすような効果もあるんじゃないかなって個人的には思っています。
いろんな形の懸魚があって、たまに漢字で「水」って書いてあるのもあるので気が向いたら探してみてください。