姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

昔の建物は「耐震」ではなく「免震」だから崩れにくいんです。

こんばんは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
会社の近くで瓦降ろし工事を着工しました。寒波が続いていて体が動き辛いので仕事もなかなか進まないですね。暑くても寒くても仕事が進まないのは外仕事の宿命ですね。

 

「耐震」と「免震」の違いって分かり難いです。

 

ここ10年くらいに新しく建てられた建築物は厳しい耐震基準をクリアしているという事はご存知の方が多いと思います。耐震基準というのは建築基準法で定められているんですが、「旧耐震」と「新耐震」があります。1981年を境にそれより前を「旧」後を「新」と定めています。新って付く割には古い基準なんですよねぇ。その後、1995年の阪神淡路大震災を経て木造住宅は2000年により強固にするように改正されています。つまり木造住宅で一番厳しい耐震基準をクリアしているのは2000年以降の住宅という事です。
「耐震」についてはこんな風に法律で定められているんですが、「免震」については実は法律も何もありません。何故かというと数値化が難しいんです。耐震は構造計算によって数値化されているんですが、免震はその名の通り地震の力を「免れる」んです。つまり建物全体が少しずつ揺れる事によって力を逃がしてしまうんです。これの数値化が難しい。耐震は材料の強度とか接合部の圧着力とかで計算できるけど全体的に揺れて力を逃がすって計算が確立されていないんです。

 

「耐震」だけではより強い地震で建物が倒壊します。

 

耐震は力に力で対抗するイメージです。なので想定している地震の規模であれば耐えられるけど、それ以上の規模になると負けてしまいます。旧耐震の建物が大きな地震で被害を受けたのはそれが原因ですね。学生の頃に「耐震力を上げるにはお金をかけるのが一番や」っていう先生も居たくらいです。

 

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それに対して免震は力に技で対抗するイメージですね。大きな地震が来てもある程度までは力を逃がすので一気に倒壊する事はありませんし、場合によっては建物の場所は移動していても建物そのものはそのまま残っていたりします。
地震大国の日本の古い民家やお寺、神社などが今でも残っているのは「免震」の考え方で建てられているからなんですね。

 

姫路城は震度4でも一升瓶が倒れませんでした。

 

阪神淡路大震災の時、姫路は震度4でした。市内でも棟(屋根のてっぺん)の瓦が崩れたりの被害が出ていたんですが、姫路城には大きな被害は出ませんでした。姫路城の高さは海抜でいうと92m。建物そのものは31mやけど山の上に石垣があって、その上に構造物があるのでかなり高いんです。そんなところで震度4の地震が来ると普通なら最上階はかなり大きな揺れになります。
姫路城には大天守の最上層に「長壁神社」という神社があって、そのお社には一升瓶がお供えしてあるんですが、震度4の地震でも倒れていなかったそうです。構造体そのものが免震構造になっていて、各部が揺れを吸収した事で最上層の揺れが小さくなった事で大きな被害を受けなかったんですね。
今は耐震構造だけでなく免震構造も少しずつ見直されてきています。免震技術の数値化や計算も出来るようになってきているみたいなので、古民家などが見直される日もそう遠くはないのかもしれません。

 

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