姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

建物の規模によって瓦の大きさは変わります。大きい建物には大きい瓦が葺かれます。

こんばんは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
昨日までの快晴が一転、一日曇りがちでした。それでも紫外線がきついのが今の時期の特徴ですね。日焼けはするけど直射日光と瓦からの反射がないだけでもかなりマシになるので今日のような天気が一番仕事しやすいです。

 

大きな建物には大きな版の瓦です。

 

今日も昨日行った無量寿寺関係の話になります。無量寿寺の本堂はとにかく大きくて高さが51.9m、横幅が桁行67.9mもあります。自由の女神像よりも高い建物なんです。世界一の鬼瓦が取り付けられているのも頷ける大きさですね。
そして大きい建物には大きい瓦が施工されています。本葺きで葺かれているんですが、平瓦1枚で普通の桟瓦4枚分くらいの大きさと重さになる特注の瓦なんです。特別このお寺の瓦だけが大きいんではなくて大規模な建築物の瓦は基本的に大きいんです。
大きい建物に普通のサイズの瓦を使うと枚数も重量も桁外れに増えてしまうのが理由の1つ。もう1つの理由としては屋根の面積が大きいのに瓦が普通サイズやと瓦の数が増えて頭でっかちに見えてしまってバランスが悪くなるからです。
瓦の枚数が多いと屋根は豪華に見えるんですが、その数が多くなり過ぎると頭でっかちになってしまうんですね。

 

小さい建物には小さい瓦が使われています。

 

逆に門や茶室など小規模の建物には普通の瓦の半分くらいの大きさの瓦が葺かれる事もあります。小さい建物に大きい瓦やと屋根が軽く見えてしまってこちらもバランスが悪くなるんですね。
現在一般的になっている瓦は基本的に住宅を基準としたサイズになっています。だいたい1坪(3.3平方メートル)に53枚とか56枚です。一般住宅であれば多少大きくなっても高さはそれほど高くならないからですね。
それでも桟瓦では1坪あたり53枚の版よりも大きい瓦というのは見た事がありません。小さい版の瓦では1坪あたり100枚というサイズまでは見た事があるんですが。

 

飾り瓦も大きくなります。

 

建物が大きくなって瓦の版が大きくなるとそれだけ役物といわれる特殊な瓦も大きくなっていきます。代表例が鬼瓦ですが、それ以外の飾り瓦もどんどん大きくなっていきます。
姫路城の大天守のてっぺんの鯱瓦は高さが175センチメートルほどありますし、京都の西本願寺の獅子の飾り瓦は1.3mほどの高さがありました。
建物が大きいと飾り瓦も大きくしないと目立たないですよね。ちなみに無量寿寺の本堂の鯉の飾り瓦は3メートルくらいありましたし、隣の観音堂には鳳凰の飾り瓦が載っていました。これも1.5メートルくらいの高さです。
大きい瓦はそれだけ焼き上げるのも難しくなるのでこのサイズの瓦はかなり貴重です。

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