姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

屋根を軽くすると地震に強くなるという訳ではありません。

こんばんは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
天気予報だけを見ていると梅雨なんやなぁって感じる予報になっていますね。今週末から来週にかけて、雨マークが付いていないのが土曜日だけという。実際には雨はどこかの日にまとまって降るので雨が降るのはせいぜい2日ほどなんですが。それでも予報を見ながら仕事の予定を組むので、今の時期は毎日のように頭を悩ませています。

点検に行くと未だに「瓦は重い」と言われます。

 

梅雨入りしてから毎週末に雨が降って、しかもそこそこまとまった量の雨になるので雨漏りの点検依頼が重なっています。現場調査に行くと一番多いのが築30年~40年くらいの住宅です。家を建ててから全く手を入れずにどうにかなるのがそれくらいの年数なので当然なんですが。

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そしてそういう家に住んでいるお客さんが結構な割合で仰るのが、「瓦は重いから軽い屋根にした方がいいのかな?」という事なんです。
「瓦が重いから地震に弱い」という考え方がいかに広く浸透してしまっているのかを思い知る瞬間です。

 

屋根の重量だけで耐震性が決まるわけではありません。

 

実は建築士の資格を持っている方でも「屋根は軽い方が地震に強い」と思っている方が多いんです。阪神・淡路大震災の時に屋根の形はそのままに柱が折れて家が潰れてしまった映像が流れて、「瓦が重い事が原因で家が潰れた」とテレビで流れてしまったので刷り込まれてしまった部分もあるんですよね。
実際には耐震性というのは屋根の重量だけで決まるものではありません。耐震診断をして、補強が必要になった時に一番手軽に診断の「数値」を変える事が出来るのが屋根やったから、「屋根を軽くしましょう」という話になっているだけなんです。他の部分で数値を良くしようとしたら壁を壊して耐震補強しないといけないので、工事が大規模になってしまうんです。

 

屋根が軽いという事は風には弱いという事です。

 

仮に屋根を軽くする事で耐震性が良くなるとしても、軽い屋根は風にはとても弱いです。昨年の千葉の台風や一昨年の大阪の台風では重いはずの瓦の屋根でも飛ばされてしまうほどの風でした。瓦よりも軽い金属やスレートの屋根の被害は瓦よりもはるかに数は多いんです。瓦の場合には被害が出ても一部で済んで修理も比較的容易なんですが、軽い屋根の場合は屋根全体が飛ばされてしまって、ひどい時には屋根そのものがなくなってしまう事もあります。実際にそういう現場を見た事もあります。特に金属屋根は水下側で劣化が酷くなる傾向があるので、更に風に弱くなるんですよね。
台風シーズン前に弱っていないか点検しておくことをオススメします。