姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

古い「蔵」は防犯、防火に優れた建物です。

こんばんは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
夕方、現場から帰ってくると事務所にストーブが出ていました。確かに朝晩冷えるようになってきたので、そろそろ必要になってくるかもですが、なんとなくついこの間まで暑いと言ってたのになぁって思ってしまいます。
私が出せば良かったんですが、今日は現場作業の日やったので、事務員さんが頑張ってくれたみたいです。でもまだもうしばらくは火を入れずに頑張ってみようと思います。

 

蔵は瓦よりも土の方がたくさん屋根に載っています。

 

今日の現場は蔵の葺き替えに伴う瓦降ろしでした。しかも本葺きの蔵なのでかなり築年数も古いものです。ところどころ新しい瓦で修理はしてあるんですが、限界が来ていたみたいで、軒先も垂れていたし軒天に塗ってある漆喰も剥がれ落ちているところがありました。
本葺きの瓦なのでお寺とかお城の屋根のようなイメージですね。瓦の量は一般的な桟瓦葺きの住宅の3倍くらいと考えればいいので相当な数です。でも本当にスゴイのは瓦の量よりも土の量の方が多いって事なんです。

 

土蔵は火災から財産を守るための建物です。

 

以前、お医者さんが幕末にタイムスリップするドラマでもやっていたので、覚えている方もいらっしゃるかもしれませんが、昔の土蔵というのは火災から財産を守るための建物やったんです。
壁は構造体となる木材の間に竹を編み込んでその両面に大量の土を塗り込んであります。そして屋根も瓦の下には3寸(9センチ)くらいの厚みの土の層があるんです。
窓も小さい上に窓に付いている扉にも土が塗り込んであって、外側の表面は漆喰塗りですね。これだけ土に囲まれていると外から火が迫っても中にまでは入りません。もちろんきっちりと閉まっている事が前提ですが。

 

扉以外からは出入り出来ません。

 

そして土蔵は扉以外からは出入りも出来ないんです。土壁なら壁を掘ったら穴が空くと思われがちですが、竹を編んで壁の下地になっている上にその竹の中に砂を詰めてある事が多いんです。そうすると鋸をつかって竹を切ろうとしても切れないんですよね。
もちろん、屋根の瓦を外したところで下は土なので某時代劇の様に屋根から侵入する事も出来ません。
だから時代劇でも盗賊はわざわざ大店に潜入して蔵の合鍵を作ったりするんです。
現代ではあまり蔵を実用のものとして使っているお宅はないとは思いますが、火災が現代よりも大きな脅威やった江戸時代には防火・防犯に優れた土蔵は必要なものやったんですよね。
あまり長く放置していると屋根も下地が腐ってしまうのでメンテナンスは絶対に必要ですが。

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