姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

割れているように見えるけど割れていないのが凍害です。

こんばんは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
暑くて湿度が高い夏場はインスタントコーヒーを美味しく淹れてくれる「バリスタ」も調子が悪くなります。インスタントコーヒーを入れているタンクの中の粉が湿気を吸って固まってしまうんです。淹れる前にちょっと振ってやるとパラパラになるんですがちょっと油断するとまたすぐに固まってしまって、コーヒーが薄くなってしまうので夏場は粉を少な目にいれないとなんですよね。

 

釉薬瓦は中が赤いので欠けたりするとよく目立ちます。

 

陶器瓦にはいぶし瓦と釉薬瓦があります。いぶし瓦は焼成中にガスを入れる事によって炭素被膜を瓦に施す事によって耐久性や防水性を確保しているもので、釉薬瓦は焼成前の瓦の白地に釉薬を塗って焼成する事で表面にいろいろな色のガラス被膜を形成して防水性などを高めています。瓦の粘土はそのまま焼くと赤くなるんですが、いぶし瓦は炭素被膜が中にまで浸透するのでいぶし銀になりますが、釉薬瓦の場合は表面だけが釉薬の色で中身は赤いままなんです。
このガラス被膜を拡大してみると小さいヒビが入っています。「貫入」っていうんですが、この貫入は経年劣化によって深くなっていくんです。そして最終的には瓦が水を吸うようになってしまうんです。

 

吸った水が凍結すると「凍害」が発生します。

 

瓦が水を吸うようになるといろいろと不具合が生じます。浸透した水が瓦の裏側までいくとそのまま雨漏りになるし、家の中の空気が冷たいと瓦の湿気が瓦と屋根下地の間で結露して、雨漏りと同じような症状になります。
そしてなによりも寒い時期に瓦が吸った水分が凍結してしまうと瓦が粘土の層ごとに剥離していく「凍害」が発生するんです。
凍害が発生すると釉薬瓦の場合、遠くから見ると瓦が割れて赤い断面が露出しているように見えるんですよね。

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凍害が発生してもたちまち雨漏りに繋がるわけではありません。

 

凍害は放置していたら屋根全体の劣化に繋がるので放置していいわけではないんですが瓦がせんべいのように剥離していく性質上、すぐに雨漏りに繋がるわけではないんです。
特に発生しやすいのが瓦の山になっている部分で、水が流れる量が一番少ない場所なので雨漏りしにくいんです。ただし、そのまま放置していると凍害が広がって水が流れている場所や瓦同士が重なっている場所がはがれてしまって雨漏りに繋がるんです。
釉薬瓦の屋根でなんとなく赤い部分が見えてるなぁって時はちょっと注意した方がいいですね。