姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

科学技術の進歩は職人の勘と経験を数値化します。

こんばんは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
朝からいい天気やと思ってたら昼過ぎに時雨れてきて気温が思ったほど上がりませんでした。明日も昼から雨みたいでまた寒くなるみたいですね。
寒くて当然の時期なのでそれでいいと言えばいいんですが、こんなに寒いと仕事するのにも支障が出てきます。思い切り雪が降れば逆にあったかくなるんですけどねぇ。

 

「料理は科学」という言葉に感銘を受けました。

 

先日テレビを観ていたら京都のミシュラン3つ星を獲得した料亭の料理長が「料理は科学です」と仰っていました。「経験を積んだ料理人の技術は確かにすごいけど、その人がいなくなってしまったら技術は失われる。修行時代に見て盗めといっても何も得る事は出来ない」というのが持論だそうです。実際に新人の教育は付きっ切りで教えるし、調理場にはスケールや定規などが置いてあって、それらを駆使して料理を仕上げていました。そうする事で誰が作ってもその料亭の味が守られるというわけです。何代も続く伝統ある京都の料亭でそんな革新的な考えが採用されている事にとても驚きました。

 

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建築現場も全く同じです。

 

この職人の技を科学的に分析して再現するというのは建築現場でも通用する考え方です。職人の育成が難しいと言われる一端は教える側が伝える技術を持っていない事やと私は考えています。それを科学的に分析して数字などで伝える事が出来たら職人の育成が物凄く容易になります。建築業界では未だに職人が技術を手取り足取り教えるものではないという考え方が根強く残っています。職人さんが多数いた時代にはそれでも技術が途絶える事はありませんでしたが、昨今の職人の高齢化と廃業の波を見ているとそんな事を言っていてはとてもではないけど技術や技能は残せません。
3年前に完成した姫路城の平成の大修理は修理の他に技術や修理の過程を記録に残して次の大修理に備える事も大きな目的でした。修理の全工程を映像記録として残せるようになったのも技術革新の1つですね。その他にもX線による内部探査などで診断が出来るようになって新たに判明した事実が発表されていたりします。

 

 

 

最後にものを言うのは腕のいい職人です。

 

もちろん、技術の発達で腕のいい職人さんが不要になる事はありません。いくら数字で表す事が出来てもその通りに仕上げるには技能が必要です。その技能は経験する事でしか得られないんです。職人さんが経験を積む事が出来る仕事を確保するのが私の仕事やと考えてます。その時に経験の浅い職人さんが時間がかかってもベテランの職人さんと同じくらいの仕上げを出来るようになっていれば後は時間と経験が育ててくれます。
私に瓦の事を教えてくれた師匠が30年以上前から提唱して実践していた事が職人の世界でも少しずつ認められてきたのが嬉しいです。