姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

同じ色の瓦が経年でこれだけ変色してもまだまだ現役なんです。

こんばんは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
昨日も今日も天気予報では雨が降るなんて言ってなかったのに急に降り出すので焦りました。数枚の瓦を差し替えるだけの小さな工事やのに雨が降り出すと滑って危険度が増すので要注意です。そして昨日のブログで親父の年齢を1歳間違えていました。66歳です。昨日のブログも編集しておきました。

 

瓦は変色しても性能が大幅に落ちるという事はありません。

 

年に1回くらいなんですが、「瓦の色が変わってしまっているが大丈夫でしょうか?」という相談を受けます。瓦は基本的に1枚だけ大きく色が変わるという事はあまりなくて、屋根全体で少しずつ色が変わってくるので色の変化には気付きにくいんですが、近くに新築の家が出来て同じような瓦やと色の違いがはっきりしてしまうので不安になるお客さんもいらっしゃるようです。
瓦の色の変化は太陽光に含まれている紫外線による経年劣化による事がほとんどですが山の側の家では日当たりが悪くて苔が発生して緑色が強くなっていたり、線路の側では電車が走った時の鉄粉が錆びて赤くなったり、海の側で潮風によって赤く変色したりする事もあります。潮風や鉄粉は瓦そのものが変色したというよりは瓦の表面に付着した鉄粉や塩分によって変色したように見えるだけですね。
こういった変色で瓦の性能が大幅に落ちるという事はまずありません。

 

昔のいぶし瓦は窯の中の位置によっていぶしのかかりが浅い事もありました。

 

性能が大幅に落ちる事はないとは言っても経年「劣化」ですので新品と同様の性能があるわけではありません。それでも不良品と言われるほど性能が落ちる事はないんですが付着物が悪さをして雨漏りする事はあります。
そして多いのが「いぶしの剥がれ」です。今の焼成技術は格段に向上しているので窯の中は均一な温度になっていて火の回りが悪いとかいぶしがかかりにくい場所があるという事はありませんが、昔の窯ではそういう事が起こっていました。
瓦の一等品、二等品というのはそういう所から来ているので今では出荷される瓦は昔の基準で言えば全て一等品です。
いぶしの剥がれは焼成中の窯の中でいぶしのかかりが比較的悪い所にあった瓦の表面の炭素被膜が経年劣化によって剥がれてしまって黒ずんでしまう現象です。薪窯からガス窯に変わった40年~50年ほど前の瓦に多く見られますが50年経過した屋根はそれなりの風合いになっているので、気にしなくても良いと思います。

 

差し替えすると色の変化が際立ちます。

 

色の変化が際立ってしまうのが、割れた瓦を交換する「差し替え工事」を行った時ですね。同じ色の瓦を用意しても一般の方からしたら「違う色の瓦や」って言われてしまうくらい色が違って見えます。

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それくらい太陽光や雨、風雪の影響が大きくて色が変わる程度の変化だけで何十年も家を守り続ける事が出来る建材って他にはないんですよね。
日本最古の瓦は1400年前のものですが、今作られている瓦が1000年後まで残ってると嬉しいなぁ。