姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

焼き物であっても経年で色は変わってしまいます。

こんばんは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
めちゃくちゃ暖かくなって気が付いたら近所の桜もあっという間に5分咲きくらいまで咲いていてびっくりしたんですが、昨日の雨で気温が一気に下がった感じですね。また気温が上がっていくはずやけど、今日から明日にかけては気温が低いままになるみたいなので体調管理に気を付けないとです。花粉や黄砂でイマイチすっきりしない上に季節の変わり目が重なるとしんどいですね。今の時期の疲れがGW前後くらいの気管支炎に繋がるので本当に要注意です。

 

粘土瓦には長期間の対候性があります。

 

一般に瓦というとお寺やお城などに使われているような瓦を想像される方が多いと思います。地域によってお寺やお城の瓦でも釉薬を使った色瓦を使っているところもありますが、イメージとしてはいぶし瓦が多いです。
釉薬瓦といぶし瓦は「粘土瓦」に分類されます。原材料が粘土だけというシンプルなもので廃棄する場合でも埋め立てるといずれ土に戻るスグレモノなんですが、現行法では「産業廃棄物」として十把一絡げにされています。
そんな粘土瓦は長期間屋根の上で日光や風雨にさらされても機能を損なわない対候性を持っているんです。だから50年とか100年前の瓦でも塗装しなくてもいいんです。

 

屋根の環境はとにかく過酷です。

 

屋根材というのは建築物の材料の中でも特に過酷な環境にさらされています。常に日光と風雨にさらされるのはもちろんのこと、真夏の高温と真冬の低温も毎年経験します。これだけ過酷な環境下でも長期間建物を守っているのが屋根材なんですよね。そして屋根の上という人間の眼から見て一番遠い場所にあって、毎日見ているからこそなかなか材料の変化には気付けません。それでも少しずつ色は変化しているし、表面の質感も変化しているんです。瓦の変化に関しては私は「経年劣化」ではなく「味になる」と説明

しています。

 

新しいものが混ざるとよく分かります。

 

瓦の経年変化については災害などで1枚だけ破損して差し替えした時にその変化の度合いがよく分かります。何百枚、何千枚と瓦が並んでいても同じ年数が経過していたら誤差はあっても似たような色合いと質感になります。そこに1枚だけ新しいものが入るとびっくりするくらいはっきりと違いが出てくるんです。

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差し替えの修理をする時にはその点は説明するんですが、たまに「色が違う」って言われるんですよね。20年とか30年前のものとつい最近作られたものが同じになるわけないのに。なんでも新しいものがいいっていう文化になっているけど、そろそろその価値観を変えていかないといけない時期なんじゃないかなぁ。