こんばんは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
お盆休みも終わって今日から通常営業です。とは言うものの3日休むとなかなか体が仕事モードについてきません。夏の暑さを甘くみたらダメですね。
瓦ってどんな状態になったら寿命が来たって言うか考えてみた。
私たち工事業者が瓦屋根を点検してお客さんに葺き替えを勧める時に「寿命です」って言葉を使う事があります。
この「瓦の寿命」ってどんな状態の事を指してどう説明するか考えてみました。
お客さんにしてみれば「寿命です」の一言で修理で済むと思っていたものが葺き替えになってしまうんやから専門用語でなんとなく分かった気にさせるんじゃなく全く瓦の事を知らない人にも分かるようにしないといけないなって先日現場調査に行った時に思ったんです。
「瓦」そのものの寿命と「瓦屋根」の寿命の違い。
一口に「寿命」といっても瓦そのものがダメになってる場合と瓦は大丈夫でも屋根全体としてみたらダメになってる場合があります。
古い瓦は土葺きといって瓦の下に土が置いてあって、その土の接着力を使って瓦を固定してある事が多いんです。この場合、土の接着力がなくなって上に葺いてある瓦がズレてしまったり、土ごと屋根の軒先の方にズレてしまったりした状態になると「寿命」であると言えますね。
土と瓦の重量が軒先にかかってしまって軒先が下がってしまったり、瓦がズレて樋でかろうじて引っ掛かってる状態になっていたりしていて屋根の上の方、棟の近辺は瓦の重なりがなくなってしまって隙間ができたりしてしまいます。
この状態になると点検に上がった時に踏んだ瓦がズレて抜け落ちたりする事もあって、とても危険なんです。
瓦そのものの寿命は見た目で分かります。
瓦そのものに寿命が来ている場合にはもっと分かりやすいです。基本的に屋根の上に施工された後の瓦というのは外部から力が掛からない限り割れる事はありません。たまに台風で飛ばされたものが当たったり、ボールが飛んできて割れたり、鳥が咥えていたものを落として割ったりする事もありますが、極まれです。
そんな瓦が割れる原因の1つが「凍て」です。古い瓦の場合焼きが甘くなってしまう事があります。その場合、瓦は水を吸うようになってしまう事があります。この瓦に吸われた水分が冬場に瓦の内部で凍結してしまうと起こる現象でせんべいの様に瓦が層になって剥がれてしまいます。現在は窯の温度や火の回り方などをコンピューターで制御しているので凍てが入る事はほとんどありません。
もう1つが土を使わない空葺き(引っ掛け桟葺き)で瓦を留めつけている釘が鉄釘や亜鉛釘を使っている場合に起こる「引き割り」です。鉄釘や亜鉛釘というのは時間が経つと錆びてしまうんですが、錆びた釘は膨張します。そして釘穴よりも釘が大きくなってしまった時に起こる現象です。
どちらも屋根にたくさん使われている瓦の数枚だけに起こる現象ではなく、1か所見つけたら近い将来全面に同じ症状が出ると考えた方がいいです。
どちらも屋根に上がったら比較的すぐに分かるので定期的な点検を忘れないようにして頂きたいですね。