姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

瓦を塗装する必要はありません。

こんばんは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
事務所では夏場はエアコンが2台、フル稼働になります。スペースを区切っていないので天井埋め込み式のエアコンを使っているんですが、1台は一昨年、故障して新しいものにしたんです。私が座っている側の方は古いままでかれこれ17年ほど使っているんですが、最近ちょっと冷えが鈍くなってきたように感じます。特に外から帰ってきて汗だくの時には全く涼しくならないので困るんですよね。そろそろ換えないといけない時期になってるんかなぁ。

 

瓦は屋根材の一種なんです。

 

よく屋根材全般を指して瓦と言われる事があるんですが、厳密には「瓦」というのは陶器瓦の事を指します。今流行っている「ガルバリウム鋼板」や「薄型スレート」なとは「屋根材」ではあっても「瓦」ではないんですよね。でも一般の方からすれば屋根の上に施工するものはすべからく「瓦」になるみたいです。
だから「瓦」にいろんな屋根材の特徴を当てはめて考えてしまうようです。

 

塗装が必要なのは「セメント系」「板金系」の屋根材です。

 

よく「瓦を塗装して欲しいんです」という問い合わせを頂きます。電話で問い合わせを頂いた場合は屋根材が本当に瓦なのかそれ以外のものなのか判断がつかないので、ひとまず現地を確認させてもらうんですが、10件中8件くらいの割合で本当に「瓦」を塗装しようとされるお客さんがいるんです。
本来塗装が必要なのはスレートやセメント瓦などの「セメント系」と鋼板やステンレス板などの「板金系」の屋根材で、陶器瓦は塗装する必要はありません。

 

瓦を塗装するといろいろと不具合が起きます。

 

「瓦」の色は塗料によるものではありません。いぶし瓦は「燻化」という工程を経て炭素被膜が浸透して「いぶし銀」の色になるし、釉薬瓦の場合には焼成の前に釉薬を塗布する事によってその釉薬に応じた色が出るようになっています。後から色を付けると紫外線や風雨にさらされる屋根の環境では長持ちしないんですよね。
いぶし瓦や釉薬瓦でも年月を経て色が変化していくんですが、それは劣化ではなく風合いなんですよね。
そして瓦を塗装してしまうといろいろと不具合が起きてしまいます。瓦と瓦の間に塗料が溜まると雨の流れを阻害して雨漏りに繋がるし、昔の鉄釘や亜鉛釘を使っている時代の瓦の場合、釘割れを起こしているのにクラックが塗料で隠れてしまって分からなくなるんです。一見大丈夫に見えるのに割れていて雨漏りしたりするんです。

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悪質訪問販売業者がいろいろと不安を煽るような事を言ってきた時はお近くの瓦屋さんに相談してみてください。