姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

屋根の上での作業経験がない人が考える安全は逆に危険な事もあります。

こんばんは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
近畿地方も梅雨明け宣言が出ました。土曜日までの大雨から一転、快晴でめちゃくちゃ暑くなっていて、被害が出た地域ではこれからの復旧作業に影響が出そうな猛暑になっています。我々屋根工事業も先日の大雨で雨漏りの修理依頼が多くて、人手不足に拍車がかかっています。お客さんの為にも会社の為にも早く工事を完了したいのはやまやまですが、工事する職人がいない事にはどうにもなりません。

 

安全第一で工事するのは当たり前の事です。

 

どの業界でもそうですが、忙しくなってくるとどうしても効率が優先されがちになってきます。しかし、特に建築業ではほんの少し安全を疎かにしたばっかりに命に関わる事故、しかも当事者である職人さんだけでなく、周囲を巻き込んだ事故にまで発展してしまう事があるので、忙しい時ほど安全には気を配らないといけません。
しかし、現場で仕事をしている職人さん達は「仕事をしてナンボ」という人が多いのも事実です。最近は安全面に関してのルールがかなり浸透してきて昔よりは職人さんも気を遣うようになってきていますが、それでも会社側がしっかりと安全管理をしていかないといけません。

 

屋根の上は建築業の中でも特殊な場所です。

 

建築業界の安全に関しては労働安全衛生法などでかなり詳細に決められています。足場を組む時のルールや高所作業をする場合のルールなどです。でもこのルールを住宅の現場に厳密に当てはめられると困るのが屋根の上なんです。
よく屋根に上がる時に「命綱ないけど大丈夫?」って聞かれます。命綱って高い所で作業する時により高い場所に設置してそこからロープを括り付けるものなんです。
でも1軒家で仕事をする場合、屋根よりも高い場所はありません。特に雨漏り修理など1日とか半日で工事が完了してしまう場合には外部足場もないので、命綱を掛ける場所がそもそもないんですよね。
そして、屋根材の葺き替えなど大きな工事になって外部足場がある場合でも命綱が掛けられない事の方が多いんです。

 

安全の為の装置が危険を誘発する事があります。

 

外部足場がある場合、命綱(業界用語では安全帯と言います)を掛けるためのロープを屋根に設置しないといけないと労働安全衛生法にはあります。しかし、このロープが曲者なんです。建物の両側の外部足場同士をロープで結ぶんですが、どれだけ力をかけて引っ張っても屋根の真ん中ではたわんでしまいます。そして法律上はロープは腰の高さ以上はないといけないんです。ロープの両端は腰の高さ以上を確保しているんですが、たわんでいる場所では腰から膝の高さになるんです。
我々は屋根の上では両手に瓦を持って移動する事もあるのでその高さにロープがある事が一番危険なんですよね。そして少し薄暗くなってくるとロープが見えにくくなって躓いたりもします。実際に私は躓いてコケそうになった事があります。
瓦の業界紙ではいろいろな情報を得る事が出来るんですが、先日届いた業界紙に安全用具が必須になるという記事を見つけて、こういう法律を決める人は一度屋根の上での作業の何が危険なのかを体験してみる必要があるんじゃないかなぁって思いました。

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