姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

瓦は重いし値段も高い。それには理由があります。

こんばんは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
朝晩は昼間の服装では寒いくらいになってきましたね。日が暮れるのも早くなって夕方に建物の中にいるといつの間にか真っ暗になってて外に出た時にびっくりします。コンビニのラインナップも肉まんやらおでんやらと完全に冬仕様になってて夕方は特に誘惑から逃れるのが大変です。

 

瓦が重いのは事実ですが、ちゃんと理由があります。

 

瓦は重くて地震に弱いというのは阪神淡路大震災の時からよく耳にするようになりました。確かに地震で倒壊した家は屋根がそのままの形で残っていて下が潰れてる物件が多かったようです。でも瓦は地震でもそのまま屋根に残っていたんですよね。つまり施工そのものはきちんと出来ていたって証拠やと思うんです。
そして昔の建物で瓦が重たい事にもちゃんと理由があります。昔は家の柱や梁を「ほぞ」や「継ぎ手」で繋いでいました。木材をパズルのように組み合わせて一体化させる技法です。金属が貴重やった時代に金具を使わずに構造体を作り出す方法ですね。
木材は経年で痩せて細くなるんですが、この「ほぞ」や「継ぎ手」と屋根の重量とで建物全体の強度を保っていたんです。

 

 

瓦にすると予算が上がります。

 

葺き替えの見積もりをする時に瓦の値段と軽量屋根材の値段を単純に比較して安い方を選ぶ人が少し前まではたくさんいらっしゃいました。瓦と軽量屋根材では同じ面積で使う材料の数がそもそも違う上にそれを施工する職人さんの手間も変わってくるのでイニシャルコストは当然ながら瓦の方が高くなります。しかしランニングコストで言えば瓦はとても優秀なんです。部分的に修理するのも容易で瓦そのものの形も300年ほど大きく変わっていないので、新しい瓦でも比較的簡単な加工で差し替えが可能なんです。

 

f:id:cbr1100xx-superblackbird-01:20181030222110j:image


対して軽量屋根材はイニシャルコストそのものは安価やけど定期的に塗装をかけないと防水性が保てない上に時間が経つと差し替え用の材料すらなくなってしまう可能性が高いんです。

 

瓦屋さんは雨が降ったら仕事が出来ない。

 

昔は瓦屋さんといえば建築関係の職人さんの中でも日当(1日の給料)はかなり高い方でした。雨が降ったら仕事が出来ないのに平均したら1年の1/3は雨なので残りの2/3で1年分を稼がないといけなかったからです。
高所での危険な作業でもある事からそれだけの高給でも他の職種も納得の給料やったという話を聞いた事があります。
その頃から比べると屋根の上でやらないといけない事は格段に増えてるのに日当そのものが下がり続けている現状ではなかなか職人の育成もままなりません。しっかり手間をかけた仕事が出来る現場も減ってきてるんですよねぇ。
「仕事」の「手間」をもっと楽しむ余裕が必要なんじゃないかなぁ。