姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

昔の瓦は吸水して凍結する事があります。

こんばんは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
現場への移動時間はよくラジオを聞いています。主にAMで毎日放送を聞いているんですが、その中でちょっと気になる話題がありました。年明けの年賀状の楽しみと言えば友人からの近況報告とお年玉の抽選です。今年は20日に抽選があるそうなんですが、その他に4月にも特別抽選があるそうなんです。まぁ、毎年切手シートが2~3枚当たったらいい方なので期待は出来ないんですが。特別抽選では東京オリンピックへの招待券なども用意されているそうです。

 

昔の瓦には凍害で破損するものがあります。

 

最近よく修理工事に行って見かけるのが「凍てた」瓦です。せんべいのように表面が剥離して瓦が薄くなってしまい、最終的には割れてしまう現象です。

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この現象、現在作られている瓦ではあまり起こりません。現在の瓦は「凍害試験」というJIS規格でも定められている試験に合格しているものか同等品かばかりなんです。
しかし30年から40年ほど前の瓦には「凍てる」瓦が多いんです。瓦の製造に機械が使われるようになって大量生産が可能になった段階で手作りで作っていた頃よりも一時的に弱くなってしまったんだと聞いています。
私自身は製造の分野は素人なので実際に製造していた父からの受け売りなんですが。

 

瓦は地域によって少しずつ違いがあります。

 

そもそも瓦はそれぞれの土地の土を使ってその土地の気候に合わせた品質で作られていました。温暖な地域では凍結する心配をしなくてもいいですし、内陸部では海風に含まれる塩分を気にする必要はありません。
それが機械化による大量生産と流通網の発達によって日本全国どこにでも瓦を届けられるようになった事で寒冷地に向いていない瓦が寒冷地に使われたりしたんです。
そういう事を深く考えずにドンドン家を建てていた時代が30年から40年前です。そしてそのツケを今になって払ってるんですよね。

 

瓦は少しだけ水を吸い込みます。

 

瓦の凍害試験をする時の目安として「吸水率」が設定されています。つまり瓦は水を吸うんです。淡路瓦が吸水率9.8%、三州瓦が5.8%、石州瓦が1.2%です。この違いは焼成温度が関係してくるんですが、それぞれの産地の気候も関係しています。
石州瓦というのは島根県の石見地方の瓦で日本海側なのでとても寒く雪が多いので固く焼き締めておかないと瓦が長持ちしないんです。三州瓦は愛知県ですね。石州ほど寒くはないけど、それでも内陸部ではそれなりに冷えます。淡路瓦は兵庫県で瀬戸内海の島なのでそもそもかなり暖かいんです。そういう気候の違いとその土地の粘土の性質から焼成温度が違っていて、吸水率も変わってくるんです。
淡路瓦の9.8%でも凍害試験には合格していて、凍てる心配はありません。淡路のメーカーさんの努力の賜物ですね。今では日本海側でも採用されています。