姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

瓦は焼き物だからどうしても癖が出来てしまいます。

こんばんは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
姫路でも少しずつコロナウィルスの感染者が増えてきました。まだ都会ほど緊迫した状態ではないはずやけど、正体が分からないが故の恐怖感みたいなのが広まっていて、なんとなく外出を自粛してしまている感じです。そんな中、普段はテイクアウトとかデリバリーをやっていないお店がテイクアウト始めましたという話を聞くようになってきました。どんな形でも今を乗り切らないとなんですよね。

 

きっちり隙間なく施工できる事は少ないんです。

 

このブログでも何度か話題にはしているんですが、瓦は「焼き物」です。原料の粘土を成形して乾燥させて、1000℃前後の温度で焼成をかけるんです。粘土を成形させて乾燥させるだけでも粘土の厚みの違いで歪みが生じるんですが、それをさらに焼成すると火の回り方が違うのでその歪みは更に大きくなります。
それを計算して成形するんですが、大量生産するとある程度平均化する事は出来ても完全に同じものを作るのは難しいんですよね。だから瓦を施工する時にきっちり隙間なく施工するというのも難しいです。

 

土葺きのメリットは歪みを吸収できる事です。

 

「屋根は軽量化しないといけない」という今の住宅建築の流行りの中ではなぜ昔は土葺きをしていたのかという事がよく疑問視されますが、土葺きには土葺きのメリットがあるんです。
土の接着力がなくなる頃にメンテナンスをしたら家が長持ちするという目安としてのメリットもあるし、多少瓦の内側に水が入っても土が吸収してくれるというメリットもあります。野地面に不陸があっても土でその不陸を修正する事が出来ます。そして瓦の歪みを土で調整して施工できるというのもメリットですね。

 

空葺きは歪みも野地の不陸もダイレクトに瓦の面に出てきます。

 

今、現在推奨されている土を使わない桟葺きは軽量化できる事と釘留めする事で風に対する耐力が得られる事がメリットです。その代わり、瓦の歪みも野地面の不陸も瓦を並べるだけでは修正出来ないので、葺きあがった瓦の面にその歪みや不陸がダイレクトに出てしまうんです。それに瓦と瓦の間の隙間も大きくなってしまいます。

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多少の隙間があっても雨漏りの心配もないし、屋根の上の事なので近付かないと分からないくらいの隙間ではあるんですが、工事中は近付く事が出来るし、一度「ちょっと隙間がある?」って意識が向くとどうしてもその隙間がきになるようになってしまうんですよね。そういう隙間が目立たないように工事をするのも大事な事です。