姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

200年間お疲れさまでした。これからは新しい瓦がお社を守ります。

こんばんは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
昨日で東日本大震災の発生から7年が経ちました。当日は私も屋根の上で作業していましたが、姫路ではほとんど地震の揺れは感じなくて地震があった事を友人からのメールで知ったくらいでした。会社に帰るまではあんな大事になるなんて思ってなかったので帰ってきてテレビでニュース見て衝撃を受けたのをよく覚えています。

 

大きい神社の中の小さいお社の葺き替え工事を着工しました。

 

今日から姫路にあるかなり大きい神社にある小さな八幡宮の瓦降ろし工事を着工しました。毎年正月に社員で安全祈願に行く神社なのでかなり嬉しいです。サイズ的にはかなり小さい屋根なんですが本葺きなので瓦の量もそれなりです。雨漏りで幣殿の畳と床が傷んでいて、そこを修理しないといけないというのが発端で、そもそもの原因である雨漏りを直さないといけないという事で点検の結果葺き替え工事となったんです。
神社やお寺の工事では着工前に安全祈願のお参りを全員でしてから着工するんですが、今回は規模の大きい神社やったので朝イチの神社内の朝礼にあたる朝拝にも参加させて頂きました。

 

古い瓦は強度がなくなってボロボロでした。

 

今回降ろした瓦には「大古瀬市左衛門」という刻印がされていました。昔は瓦を製造するにも許可が必要でこの大古瀬さんという方は姫路でもかなり有名な瓦師さんやったようです。古い文献にも名前が出てくるし、大河ドラマのロケ地にもなっている大きなお寺である「亀山本徳寺」の工事でも名前が出てきます。安永三年(1774年)の工事に瓦工棟梁として名前が挙がっているので今から約250年ほど前の人物ですね。つまり瓦自体は250年前の瓦と言う事です。このお社にその当時から葺かれていたかどうかは不明やけど、工法などを見ると250年前には使われていなかった工法やったので恐らくは元々葺かれていた瓦を葺き直したか、他の所で使われていたかの瓦を再利用して葺いたものやとは思うんですが、それでも250年前の瓦が身近にあるというのは個人的にはとても嬉しい事です。

 

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100年以上使えるのが当たり前というのは瓦の一番の長所です。

 

最近は新しい屋根材がいろいろ出ていますが、耐用年数が100年以上あるというものはほとんどありません。日本で一番古い瓦は以前ブログにも書いた奈良県の「元興寺」の屋根に残っている1400年前の瓦ですが、それ以外にも古い瓦は日本中の至るところに残っています。

omotekawara.hatenablog.com

残念ながら空き家が増えてきた事によって状態が悪くなってしまった古民家が多く、これから先はどんどん数が減ってしまう事が予想されるんですが、きちんとメンテナンスさえしていれば今の工法であれば100年くらいは余裕で使えると考えています。工法的な欠点が経年によってしか出てこない場合もあるので確実やとは言えないんですが。
100年後、200年後にうちで工事した瓦屋根が残るようにしっかりと工事していきます。