姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

鉄が膨張する力は陶器を引き割ってしまいます。

こんばんは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
熊本地震から昨日で丸5年が経過しました。私は地震発生の1カ月前に熊本城に旅行に行っていたので、知っている場所が大きな被害を受けたニュースを見てびっくりしました。その後、ご縁があって屋根の復旧工事をさせてもらいに熊本に伺う事になったんですが、地震から3カ月経った夏の時期でもまだ復旧工事が進んでいなかった事をよく覚えています。地震はいつ起こるか分からないけど、いつ起こってもパニックにならないように平時から備えておかないとですね。

 

亜鉛釘や鉄釘が瓦を傷める原因になっています。

 

40年~50年ほど前に施工された瓦に使われているのが亜鉛釘や鉄釘です。当時は土葺きの方が多かったんですが、土を使わずに釘留めする工法が最新のものでした。予算が潤沢にある現場では銅で出来た釘を使っているんですが、大半は亜鉛釘や鉄釘を使う事の方が多かったようです。

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それが年月を経た現在になって瓦を傷める原因になってしまっているというのはちょっと皮肉ですね。

 

いい工事をしてある現場ほど割れている枚数が多いんです。

 

瓦を釘留めするのは今では当たり前になっていて、今年改定された建築基準法の告示基準では新築は全数釘留めすることが明記されています。でも当時は釘留めする方が珍しくて、多くても4枚~5枚に1枚釘を打っていればいい方でした。そんな中で最新の工法でしっかり留め付けておこうと「いい仕事」をしてある現場ほど現在では傷んだ瓦の枚数が多くなって葺き替えないといけない状態になっています。

現在の最新の工法が評価されるのは50年後ですね。

 

屋根という過酷な環境で長い年月、曝露させないと本当に安全で長持ちなのかを評価できないのが屋根工事なんですよね。つまり今の最新の工法が本当に正しかったのかというのが分かるのは半世紀先です。
その時には新しい屋根材なり工法が台頭しているかもしれませんが、個人的にはそれでも「瓦」はそれらと肩を並べて日本の建築の屋根を守っているんじゃないかと思っています。
それまで瓦を扱う技能を持った職人さんが絶えないようにしていかないとなんですよね。実はそれが一番難しいです。