姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

和瓦は水を集めて流すように作られているんです。

こんばんは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
今日も今日とて朝から雪がちらついていました。流石に通行止めは解除になっていて、昨日ほどの渋滞はしていなかったみたいですが。それでも今日はまだ冷え込むみたいで明日の電車が一部運休するなんて話も出ているみたいです。
本気で気象の変化に弱いですねぇ。

 

雪溶けの水が軒先から落ちてきて冷たいです。

 

火曜日の夜から降りだして水曜日の朝には屋根どころか道路まで真っ白になるくらい積もった雪ですが、3日経った今日の夕方でも屋根の北側に積もった雪はまだまだ融けずに残っているんです。
それでも流石に融け始めていて、樋のない瓦の軒先からぽたぽたと水滴が落ちてきています。狭い路地を歩いているとこれが首筋とか頭に当たってめっちゃ冷たいんですよね。雨の時は傘をさすので気にならないんですが、雪が融ける時は基本晴れているので傘も持っていなくてモロに浴びる事になります。

 

和瓦は水を集める構造になっています。

 

軒先の瓦は鉛直方向に「水垂れ」が伸びていて、水滴が落ちる時に壁側に戻るのを極力抑える形になっています。住宅では軒先には樋が付いているのであまりじっくり観察できるところはないし、そもそも雨が降ったり雪融けの水滴が落ちているような状態ではほとんど屋根に注目される事もないので、じっくり観察した事がある人って少ないんじゃないかなぁ。

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軒先の形状だけでなく、和瓦と呼ばれる形の瓦では桟瓦も同じ形状になっていて、降ってきた雨を集めて一気に排水する形状になっているんです。

 

少ない雨でも集めると一気に流れて雨漏りしにくいんです。

 

30年くらい前はほとんどが和瓦やったんですが、平板瓦という平べったい瓦が登場してからは洋風の家のデザインに向いているという事で一気に平板瓦が増えました。この瓦は名前の通り平べったいんですが、この形の場合、雨の量が少ないと瓦の表面全体に水気が広がってしまって屋根の上からなかなか排水されないんです。
だから雨がやんだ直後に点検に上がると和瓦の場合は何の問題もなく上がれるのに平板瓦は滑りやすくて怖いんですよね。
そして平べったい形は瓦じゃなくても再現できるので結局薄型スレートや板金屋根に取って代わられてしまいました。
ちょっとした形1つとっても経験則から出来上がった和瓦の機能性は馬鹿に出来ないんですよね。そろそろ見直されてもいいと思うですが。