姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

役目を終えた材料がどう処分されるのかも考えておかないとです。

こんばんは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
梅雨らしいと言えば梅雨らしい変な天気が一日続きました。天気予報は「大気の状態が不安定」という伝家の宝刀でコロコロと予報を変えてしまうので毎朝仕事の判断に迷います。午後からの雨予報やったのが午前中に変わり、結局一日中降ったりやんだりされたら仕事にならないです。

 

アスベストを含有している薄型スレートは寿命が尽きています。

 

最近の薄型スレートの屋根材には石綿アスベスト)が含まれていません。10年くらい前に大問題になってからノンアスベストの商品に代わりました。しかし、それまでに大量のアスベストを含む商品が出回っているんです。薄型スレートは表面の塗装で防水しているので、10年に1度は塗装工事をしないといけないんですが、昔も今も薄型スレートを推奨するメーカーはその事には触れません。
イニシャルコストが安い事は確かに大きな武器やけど、ランニングコストがかかる事まで説明したうえでの採用やったらいいんですが、ほとんどのお客さんは説明を受けないまま安いからと薦められた材料にしてしまうようです。
そしてそういったアスベストを含んでいる薄型スレート商品の屋根材はここ最近どんどん寿命を迎えています。

 

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カバー工法は問題の先送りです。

 

古い薄型スレートの屋根に対して、販売元のメーカーは「カバー工法」を推奨しています。古い屋根材の処分費用がかからないので割安である事や金属系の屋根材など軽い屋根材を施工する事で2重の屋根になっても重量が軽い事が根拠のようです。
ここでも「安い」「軽い」が売り文句になっています。
でも私はあまり「カバー工法」が好みではありません。確かに古い屋根材の処分費用はかからないし、工期も短くて済むので工事する側としては手間はかなり省けるんですが、結局のところ問題の先送りでしかないんですよね。
そもそも今でもアスベスト含有材の処分費用はめちゃくちゃ高いんです。普通の瓦の5倍くらいかかるんです。それが先送りされると処分費用は更に上がります。

 

製造・販売元も匙を投げてます。

 

一度、メーカーさんの勉強会に参加した時に質問した事があるんです。
「古いアスベスト含有の薄型スレートの処分法について研究されていますか?」という内容やったんですが、「過去に研究していたけれど、コストがかかり過ぎるので現在は何もしていません」との回答でした。
お客さんと直接やり取りして関係を築くのが我々工事店の仕事なんですが、製造元は売れてしまえばお客さんの事は考えなくていいんですかねぇ??
私が高校生の頃まで当社も製造メーカーとして瓦の製造・販売をしていた事もあって、未だに工事に行った先で「あんたのお爺さんに作ってもらった瓦やで」って言って頂く事があるんです。50年とか60年経ってもそんな風に言って頂ける事は私にとってはとても嬉しい事でした。
役目を終えた材料の処分についてしっかりと考えないといけないのは建築業界全体の宿題です。