こんばんは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
忘年会シーズン真っ盛りですね。私もいろいろな忘年会に行ってて、食べる量も飲む量も増加傾向にあります。普段なかなか話をする機会のない人と話せる貴重な機会なんですが、思わぬところで先輩やったと判明する事もあるのが面白いですね。昨日もはじめましての方が高専の先輩やと分かってしばらく高専談義に花が咲きました。
銅は建材の中では高級品です。
古い住宅や神社、お寺に行くと軒樋が銅で出来ていたり軒先が銅板やったり、場合によっては屋根全面が銅板やったりします。
今でこそ塗装技術やその他の精錬技術が上がって錆びにくい金属の屋根材がたくさん出ていますが、昔はコストと寿命のバランスが取れる金属の材料というのは銅だけでした。
鉄板が全くなかったわけではないけど、こまめに再塗装を繰り返さないと鯖を防げなかったんですよね。
その点、銅は鉄のような鯖は浮かなくて表面に緑青という膜が出来て長持ちするし、適度に柔らかくて加工がしやすいから屋根材として重宝していたようです。
そして何より緑青が浮くまでの間は表面が光っていて高級感もあるので、特に贅を尽くした建物には好んで使われていました。
技術の発達で銅の純度が上がると弱くなりました。
銅が長持ちしていたのは昔の銅が今のものよりも純度が低かったからと考えられています。技術が上がって純度が高くなり、従来よりも薄い板が作れるようになって屋根材としての銅の寿命は短くなりました。
雨垂れが一点に集中してしまうので薄い板やと経年で穴が空いてしまうからです。それに最近の雨は酸性が強くなっていて銅を腐食させてしまうというのも理由の一つですね。
銅の傷みはメンテナンスの合図です。
それでも未だに銅は高級品とされています。イニシャルコストが高い事もあるけど、経年での傷みがメンテナンスの合図だと知っている人が銅を選ぶからです。
お客さんと話をする時に我々工事業者としては「安い方がいい」という脅迫観念からついつい「銅は高いから」と選択肢から外してしまうんですが、寧ろお客さんから銅にしたいと言われる事もあります。
だから樋などに銅が使われているお宅に行く時はいつもよりも余計に緊張します。本当はこちらが自信を持ってお客さんに銅を薦めないといけないのに情けない話ですね。