姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

電動工具以外でも瓦を切る道具はいろいろあります。

こんばんは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
朝からめちゃくちゃ暑くなっていますね。兵庫県でも熱中症警戒アラートが発令されたみたいです。発令されても仕事はしないとなので休憩多めで職人さんたちは頑張ってくれています。いよいよ梅雨明けしそうな気配もあるし、夏の暑さに負けないようにしないとです。

 

昔は電動工具なしで仕事をしていました。

 

私が瓦の仕事を始めた頃は流石にそろそろみんな電動工具を持ち始めていて、瓦を切断するサンダーやビス等を打ち込むためのインパクトドライバは1人1台の時代になりかけている頃でした。
サンダーは比較的早くから登場していたみたいですが、それでも今のように職人さん全員が持つような道具ではなく現場に1台あったらいいという感じの時代もあったみたいです。更に時代を遡ると当然ながら電動工具がない時代もあって、その頃は瓦用のハンマーやタガネなどを使って瓦を切断していました。

 

「押し切り」という梃子の原理を使った切断機は今でも使います。

 

タガネを使っても瓦を切る事は出来るんですが、ミリ単位の精度を求めない切断の時にはハンマーを使って瓦を切る人も多かったみたいです。ただ、ミスも多くてクラックが入ってしまって後になってそこが割れて雨漏りしたり、予定していたよりも大きく割れてしまったのにそのまま使って後の不具合に繋がったりという事も多かったんですよね。
そんな中で瓦を切る時に簡単にミスを少なくする道具が梃子の原理を利用して瓦を切る「押し切り」という道具です。構造が単純やから壊れにくくて切断した時の粉もサンダーに比べるとほとんど出ないと言ってもいい道具なので今でもかなり便利に使っています。

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技能検定では電動工具は一部しか使いません。

 

瓦葺きの技能を持っている事を証左する「技能検定」では架台に決められた仕様で制限時間内に瓦を施工して合否を判定する実技試験がありますが、この実技試験ではほとんどの電動工具が使用禁止になります。瓦の性質を理解してうまく道具を使ったら電動工具を使ったのと変わらないレベルの精度で仕事が出来るので、その技術を持っている事を証明するための試験なので電動工具を使わないのが基本なんです。
ただ、瓦に穴を開けたり、ビス留めをしたりするためのインパクトドライバだけは使用を認められています。穴をあけたりする道具がないのに決められた工法の中には瓦に穴を開けないといけない部分があるからです。
普段から瓦を扱っていてもちゃんと練習しないと合格出来ない資格なので「1級」か「2級」の技能士を持っているかどうかが「ちゃんとした」瓦屋さんかどうかの判断基準にもなります。