姫路で瓦の文化を守る四代目表瓦社長のブログ

姫路生まれ育ったの瓦屋根工事店の四代目社長が住宅屋根のお悩みを解決します。

割れた瓦の応急処置は見えない部分までしっかりと。

こんばんは。
姫路の瓦工事店、表瓦の表(おもて)です。
日が暮れるのがだいぶ早くなってきました。6時を過ぎると薄暗くなってきて、屋根の上の作業は切り上げないといけないくらいです。でもまだ日中の暑さは相変わらずなので熱中症対策は怠れません。一番暑い時間帯が少しだけ短くなったような感じですね。
それでも屋根に上がって素手で瓦を触ると持ち続けるのが難しい温度にはなってるので太陽の力って本当にスゴイです。

 

コーキングを使ったラバーロック工法は正しい知識が必要です。

 

コーキングというと瓦業界では普段から現場でよく使う便利な材料という認識と共に悪徳業者がよく使う「ラバーロック」に使われる材料という認識もあります。
何度もブログでも取り上げていますが、本来はラバーロックという工法自体が悪いわけではありません。正しい知識でラバーロック工法をすれば瓦のズレを直したり強度を増したりする事も出来ます。でも適当に使ってしまうと雨漏りの原因になるので、便利ではあっても簡単な工法ではないんですよね。

瓦が割れた時にコーキングで応急処置をする事があります。

 

そしてコーキングはラバーロック工法で使う以外でも応急処置の時に使える材料として優秀です。銅板に開いた穴を塞いだりクラックが入った部分に充填したり隙間を埋めるのに使ったりも出来ます。
瓦が割れた時に差し替え用の瓦を準備するまでの間の応急処置としてコーキングを使う事も多いです。でもあくまでも「応急処置」なんですよね。
塗りつける面が濡れていたらうまくくっつかないし、塗った後で踏んでしまうとそこら中の瓦を汚してしまうし、靴底が滑りやすくなって危ないので、使う時は本当に気を付けないといけないんです。

 

適当にやると雨漏りします。

 

本来は応急処置で後から瓦を差し替えないといけないんですが、差し替えせずにそのままになっている屋根もよく見かけます。今日調査に行った屋根もそうでした。屋根全体がラバーロックしてあって、割れた瓦が1枚だけあったんですが、その瓦の見える部分にだけコーキングがしてありました。しかも水が流れる方向に対して横切る形です。

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こんな形で塗ってしまうとコーキングに沿って雨は流れてしまいます。そして重なりの下になっている部分は割れたままなので流れた水はそこから侵入してしまうんですよね。
雨漏りして当然です。瓦が横に割れている場合の応急処置はコーキングではなく銅板などをつかって瓦の表面をカバーするようにしないといけないんです。
縦に割れている場合はコーキングだけでも十分長持ちするんですが。
上がってみたら簡単に分かったのはいいけど、ちょっとお客さんが可哀そうになりました。